小学校5年生のTさん
実際に塾の授業を始めようと、
Tさんと向き合ったとき、
学習を始める前に座って教材を取り出すまでの時間に、
少し長めの“タイムラグ”があることに気づきました。
心の準備に時間がかかり、落ち着かない様子もありました。
しかし、それは決して珍しいことではありません。
学習習慣がまだ身についていないお子さんにはよく見られる姿で、
焦る必要はないとお伝えし、
まずは「学習の始め方」を整えるところからスタートしました。
回数を重ねるごとに、Tさんは少しずつ、
自分のペースで学習に向かう力を育てていきました。
席につく→教材を出す→今日やることを確認する。
この一連の流れがスムーズになるにつれ、
集中して取り組む時間も伸びていきました。
すると、学校の算数テストでは90点以上を取れるようになり、
単元テストでは4回連続で高得点を達成。
お母さまも「こんなに続けて結果が出たのは初めてです」
と驚きと喜びを口にされていました。
何より変化を感じたのは、
Tさん自身の表情です。
点数が取れるようになってくると、
自然と姿勢が前向きになり、
「あ、これわかるかも」という自信が芽生えていきました。
そして今では、「塾に行ってくるね!」
と自分から準備をし、
宿題にも主体的に取り組むように。
お母さまが「最近は“やらされている”という感じがなくなりました」
と微笑まれていたのが印象的です。
先日の保護者面談で、お母さまが、印象的なお話をしてくださいました。
学校の授業参観でのことです。
授業が始まり、周りの子どもたちが黒板の内容をノートに書き写している中、
Tさんだけはなかなかノートを出すことができず、
見ている親の方がはらはらしてしまう。
「うちの子だけ、授業の流れに乗れていない気がしていた。」と。
周りの子どもと、つい、比べてしまう。
ということもあるかもしれません。
学習習慣は一朝一夕では身につきません。
しかし、環境と関わり方が整えば、子どもは驚くほど力を伸ばし、
自分の力で進み始めます。
Tさんの姿は、そのことを改めて教えてくれました。
今後の成長がとても楽しみです。

