中学1年のNくんは、方程式の文章問題に対して、強いこだわりと負けん気をもって取り組んでいました。

その理由は、学校での出来事でした。

クラスの友達が文章問題を解いている姿を見て、

「なんであいつはできるのに、オレはできないんだよ…」

と、悔しさがこみあげてきたのだそうです。

普段は明るくて軽い冗談を飛ばすタイプの彼ですが、

この話をするときは、ぐっと真剣な表情に変わりました。

心の奥には“自分もできるようになりたい”

という強い意志を感じました。

塾で文章問題に取り組み始めた当初は、

問題文を読むだけで不安そうに眉を寄せることもありました。

情報が多い文章を前にすると、

どこから手をつけたら良いのか分からず、

手が止まってしまうことがあったのです。

こちらがヒントを出そうとすると、

「ちょっと待って。自分で解けるようになりたいんだ」

と制し、自分の力で考える時間を求める姿が印象的でした。

すぐに教えてもらって答えるより、

自分でつかんだ“わかった!”

を大切にしたい

──その気持ちが勉強へのエネルギーになっていました。

そこで授業では、文章を短く整理して考える練習を繰り返しました。

数字を抜き出す、関係を図にする、必要な量を x におく

──その流れを丁寧に積み重ねるうちに、

「あ、これ、やることは同じなんだ」とBくんは徐々に気づき始めました。

長く書いてある文章の裏に、シンプルな構造があることが分かってくると、

表情にも余裕が見え、鉛筆を動かすスピードが目に見えて変わっていきました。

そして最近見られる大きな変化が、

新しい問題にも挑戦する気持ちで取り組めるようになったことです。

以前なら「難しそう…」とページをめくるのもためらっていたのに、

今では「とりあえずやってみるわ」

と自分から挑戦する姿勢が身についています。

初めて見る問題でも、まずは自分の力で整理しようとし、

途中でつまずいても簡単には諦めません。

考える時間を求める彼の姿勢は、

着実に“学習者する意思の強さ”が変わっています。

Nくんの成長を見ていると、「悔しい」という気持ちは、

正しい方向に向けることで大きな原動力になる

ということを改めて感じます。

これからもその負けん気と、

自分で解けるようになりたいという

強い思いを大切にしながら、

さらに理解を深めていけるよう

しっかりサポートしていきたいと思います。