中学3年生の男子生徒。バスケットボール部のお友達と一緒に、楽しそうに、そして落ち着いた様子で通塾してくれています。普段は口数が多いタイプではなく、教室でも静かに席につき、じっくりと授業に向き合う姿が印象的です。学校の授業でも、真面目に話を聞いている様子が目に浮かびますが、一方で、先生の説明のペースが少し速く感じられる場面もあるのかもしれません。「今、学校ではどんな学習をしているの?」と尋ねると、少し首をかしげて考え込むことがあります。決して聞いていないわけではなく、内容を整理しきれないまま次へ進んでしまっている、そんな様子が伝わってきます。

塾では、彼のその性格や理解のリズムを大切にしながら、できるだけゆっくり、ていねいに問題に向かうことを心がけています。一つ一つ確認しながら進めていくと、「あ、そういうことか」と、静かに納得する表情を見せてくれることもあります。ただ、授業の終わりには「なんとなく分かった気はするけれど、もう少し練習しないと不安かな」と感じることも正直あります。理解に時間がかかる分、こちらも丁寧さを欠かさず、焦らせない指導を意識しています。

そんな彼ですが、家での宿題には毎回しっかりと取り組んできます。量も十分で、字もていねい。途中式や考え方から、「分かろう」と努力している様子がはっきりと伝わってきます。その積み重ねのおかげで、次の授業では前回の内容をきちんと身につけており、「ああ、ちゃんと力になっているな」と感じる場面が多くあります。理解はゆっくりでも、努力を惜しまない姿勢が、確実に学力を伸ばしています。

受験を見据えると、記述式問題や限られた時間の中で解き切る力など、今後の課題もあります。しかし、基礎を大切にし、コツコツと積み上げられる力は大きな武器です。

わかろうとする気持ち、努力を続けられる力を土台に、これからも一歩ずつ確実に前進していける生徒だと感じています。